VARにより増えたファールとセットプレーがサッカーの勝敗を大きく左右する

VAR判定

サッカーにおいて、誤審で勝敗が変わってしまった試合は少なくありません。その代表としてあげられるのが、1986年のワールドカップで行われたアルゼンチン対イングランドでしょう。試合は2対1でアルゼンチンが勝ちましたが、2点のうちの1点がマラドーナによる「神の手」のゴールです。明らかなハンドでしたがゴールが認められました。 もし、この1点がなければ延長戦に突入し、イングランドが勝っていた可能性もあるでしょう。

こうした致命的な誤審を防ぐために導入されたのが、疑わしいプレーをビデオでチェックするVARです。2018年のロシアワールドカップでは、何度も主審がビデオをチェックする場面があり、判定が覆ったことも数多くありました。

では、VARが導入されたことにより、すべてがいい方向に向かったのかというと必ずしもそうとはいえません。というのは、VARのせいでサッカーが変わってしまった面があるからです。

もっとも変わったのがペナルティエリア内でのファールに関するプレーでしょう。VAR導入前は、かなりはっきりとしたファールでない限り、主審がスルーすることも珍しくありませんでした。ファールを取るとPKになってしまうからです。PKは高確率で得点が入るセットプレーであり、勝敗を大きく左右します。そのため、主審はあえて取らないことがあったのです。

しかし、VAR導入後はビデオではっきりとファールだとわかるプレーを無視することが難しくなり、かなり厳密にファールを取るようになりました。そのため、白熱した好試合がゴール前のちょっとした接触プレーによるPKで決着がつくことも出てきているのです。

ファール