80年代のサッカーで主流だったトップ下システムが不要論になった理由

1970年代から1990年代の間で、サッカーの主流フォーメーションだったのが4-3-1-2や3-4-1-2そして4-4-1-1で採用されていたトップ下システムです。

トップ下は最前線にいるフォワードと守備的ミッドフィルダーの間に位置するポジションで、守備で動いていた選手から渡されたボールを戦況に合わせてパスやドリブルシュートなどを行うことが目的です。トップ下には攻撃に関して重要な役割を担うので、ボールを持った時に相手の意表を突くプレイを望まれます。そのためイタリアでは意表を突くプレイをするトップ下の選手のことを、創造者を意味するファンタジスタとして愛されていたのです。

しかしそんなトップ下システムですが、2000代以降の最新のシステムになると採用するチームが激減します。

なぜトップ下システムの採用数が激減したのかというと、それは最新のフォーメーションでは4-2-2-2という形で中央に守備専門の選手を2人配置するようになったからです。 この中央に2人の選手を配置することをダブルボランチシステムというのですが、このシステムを配置することによって一人がボールを持っている選手に圧力をかけてもう一人がフォローするという流れが出来上がります。

そのためトップ下にボールが集まると、必然的にダブルボランチと中央で一人で戦わないといけないのでボールを失うリスクが高まるのです。2000年代に入ってからのサッカーにおいて守備を専門にする選手は、1980年代や1990年代に比べて技術が進歩しておりボール奪取率が格段に上がっています。そのためどんなにドリブルに優れた選手をトップ下に配置しても、技術が進歩した守備の選手と2人以上と対峙すればボールを取られる可能性の方が高くなってしまったのです。

さらにロングパスを使用して少人数で攻撃をする形から、全員が短いパスを繋げながら走るサッカーが定着したことでパスターゲットが増えたこともトップ下の不要論となった理由になります。